銭形平次捕物全集の発刊趣旨:
野村胡堂氏は文藝春秋社から月刊誌として発行されることになった「文藝春秋オール讀物號」昭和6年4月号に、銭形平次の第1作「金色の処女」を発表し、以来26年間にわたって、銭形平次捕物控の執筆を続けました。オール讀物以外にも報知新聞、サンデー毎日、キングなど、数多くの雑誌、新聞に銭形平次捕物控は掲載され、短編を中心として、掌編、中編、長編を含む総計383編が発表されました。野村胡堂氏は1963年に逝去され、銭形平次捕物控などの同氏の作品は2014年1月1日に著作権が切れてパブリック・ドメインとなりました。これに伴って青空文庫での無償公開が開始され、Amazonなどでも無料で電子書籍の閲覧が可能となっています。ただ、旧字旧かな遣いで表記された本を底本としたものから公開されたため、まだ多くが旧字旧かなの電子書籍です。
銭形倶楽部では、パブリック・ドメインとなった野村胡堂氏の銭形平次捕物控全383編を、改めて入力したPDFによる電子書籍で無償公開するプロジェクトに取り組んでいます。底本には昭和31~33年に出版された河出書房版「銭形平次捕物全集」(全26巻)を用いています。この河出書房版全集は銭形平次捕物控383編のすべてを収録した唯一の全集であるほか、新字新かな遣いで表記されているという特色があります。
約60年前に発行された河出書房版の全集以降は、銭形平次捕物控の全集刊行を手掛けた出版社は1社もなく、青空文庫等の電子書籍を含めても、60年間全く出版されていない作品が多数あります。今では古書も入手困難になっている作品も多いので、銭形平次捕物控の全作品383編を改めて再び世に出そうというのが銭形倶楽部の活動の趣旨です。本来であれば書籍の形で出版するのが理想的ではあるのですが、近年の出版界の状況では、仮に文庫本だと50冊程度にはなるであろうと思われる銭形平次捕物全集を出版するにはかなりの費用がかかり、とても回収できる見通しが立ちません。そこで電子出版を行なうことにしました。
なお、従来の電子書籍は、読むためには専用のリーダをインストールしなければならなかったので、それが敷居の高さになっている面があります。またXHTML版は、専用のリーダ無しに読めるという利点がありますが、横書き表示になって、元来の作品の持ち味が損なわれるという課題があります。このため、銭形倶楽部ではPDF版による無償公開を行なうことと致しました。
銭形倶楽部では銭形平次捕物控の作品ごとに、パソコン/タブレット端末用、大型スマートフォン用、小型スマートフォン用の3種類のPDFファイルを配布しています。
銭形倶楽部では2017年12月1日にまず65編を公開し、2018年1月以降、毎月1日に1巻ずつ銭形平次捕物全集のPDFの電子書籍版を追加発行し、全26巻383話の刊行を2019年12月に完了する予定です。なお、PDF版の公開にあわせて、楽天ブックス、Amazon、BOOK☆WALKERでも電子書籍の銭形平次捕物全集を順次無償公開しています。こちらは3日に1編のペースで電子出版を行なっており、2020年には公開を完了する予定です。
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